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鎹 かすがい繕いの器です [お道具紹介]

こんにちは 翠雀です[わーい(嬉しい顔)]

小鳥たちの声も聞こえず、雨垂れの音だけの、梅雨寒の日となりました。

衣替えの際に2枚だけ長袖Tシャツを残しておいて良かったです。

3月頃から、お茶会や各種稽古もお休みとなり、茶道の時間が減ってしまいましたので
自宅でおやつの時間にお抹茶をいただくのが習慣となりました。

42.JPG

お菓子は【鹿の子】
あんこが食べたい日はコレ。
上生菓子と違って、お値段も普段和菓子ですが、ずっしりと満足感アリ[黒ハート]

お供のお皿は、松竹梅の染付です。

43.JPG

江戸時代の、いわゆる古伊万里と呼ばれるお皿だと思います。

知り合いからこの時代の陶片を探していると相談を受けた私は
古物商の先輩に、『割れたりヒビが入ったりした器があったら買い取ります』
と言っておいたのです。

先輩はすぐに箱一杯持ってきてくれました。

その中にこのお皿もありまして、先輩の収集物だったらしいのですが
『こういうの好きでしょ』
と、くださったのです。

私は器の修復を習っていて、手負いの道具が大好き[黒ハート]

右肩から黒い線が見えますが、この線はヒビ割れです。

裏には

44.JPG

鎹 (かすがい) という金具が打ち込まれています。

江戸時代には磁器の器がありましたが、武士階級や富裕層のもので
庶民が使えるものではありませんでした。
そして壊れても修理して使っていたのです。

明治になって瀬戸で磁器の大量生産が始まると、鎹や漆で修理することもなくなり
その技術も途絶えました。

厚さ3ミリのお皿の表面に貫通させずに、ホチキスの針のような金属を打ち込む技術に
関心してしまいます。

こういうお皿を眺めていると、想像が膨らみます。

どんな人が使っていたのかな

どうして割れちゃったの

修理した職人さんのこと

このお皿が見てきた様々なこと

今は私の手の中にあって、その先はどんな時間を過ごしていくのでしょう

誰かと分かち合いたいような、私だけの愉しみにしておきたいような

一つ迷っているのは、ヒビの修復です。

今は修理 (使用に差し支えない) は出来ているけど
修復 (見栄えも良く) はされていない状態です。

表側だけ漆で埋めて、銀を引いたら染付になじむような気がします。
裏側はこのお皿の人生を残しておきたいなぁ。

手を加えるのが良いのか、このまま次の持ち主に引き継ぐのが良いのか。
お皿にとって、束の間の預かり主である私は、いつもこの問題に悩むのです。

『あなたはどうして欲しい?』

お皿を撫でながら聞いたら

【たまにはアタシに似合う上等な和菓子を乗せなさいよ!】

ですって[がく~(落胆した顔)]

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