2018年 初釜のご報告 [お茶会・お茶事]
こんにちは 翠雀です。
前回の記事で触れた初釜が無事に終了いたしました 前回の記事は⇒コチラ
何から書いてよいか・・・沢山あるのですが、お茶事の流れに沿って待合(まちあい)から。
あっ、長文ですので時間に余裕がある時にお読みくださいね。
待合とは、お茶室に入る前の集合部屋のようなものです。
全員揃ったところで、汲み出し(くみだし)と呼ばれる小さな湯呑が出ます。
大抵は白湯が入っています。
この汲み出し茶碗は相馬焼を使いました。 お茶碗を覗き込むと底に金彩を施した馬がいるのですが、
お湯を入れると金彩がより一層きらめいて綺麗だったとほめられました。
そして短冊や色紙など軽めの掛物を掛けますが、今回のはこちら。
日々是好日(にちにちこれこうにち) こうじつとも読みますが、お茶をされない方にも馴染みのある言葉ではないでしょうか。
晴れの日も雨の日も、良い事があっても残念な事があっても、その状況を十分に味わえれば毎日が佳い日になるのだ。 そのように解釈しています。
裏千家14代の淡々斎宗匠の書です。(お目利き先輩に譲っていただいた・・)
そして本席の掛け軸はこちら。
喫茶去(きっさこ) お茶をどうぞ、というような意味合いの言葉です。
去という文字があるので、お茶を飲んで去れと訳される事がありますが、去は強調の意味だそうです。
この言葉は私が中学生の時に稽古に通っていた先生のお茶室で教えていただいた、思い出がある言葉です。
お茶を習い始めると、多分最初の頃に教わる言葉かな?と思います。
わかりにくいですが、床にあるのは炭を3つ束ねて松を差し、お米を盛った上に乗せたもの。
淡々斎の時代に飾っていたというお正月飾りです。色々と苦しい時代の工夫がしのばれます。
お米は一升半盛り、一生繁昌・一生繁栄を願う意味があります。
私の先生の先生の頃は、東京道場ではこの飾りをしていたらしいです。
そして、棚は鵬雲斎好みの山雲棚。
雲の蒔絵と水の流れの彫り、溜塗りが柔らかい雰囲気を出しています。
水指は染付のぶどう棚。
私が茶名をいただいた時に、先生からお祝いでいただいた皆具です。
今回は建水と蓋置もこれを使いました。
棚の天板には、炭手前で使う羽箒と香合が乗っています。
香合はお正月に使われる事が多い、ぶりぶり香合。
変な名前ですよね。
このような六角形です。
炉縁は乱れ桐蒔絵。
炉の中には私が作ったしめし灰が入っています。 ちなみにもう少し細かい灰にするように注意されました
亭主として皆さまとの挨拶、寄付と本席の軸の話、炭手前が終わり、いよいよ懐石です。
『時分どきですので、勝手を見繕いまして粗飯を差し上げます』と挨拶をして台所に行くと
絶妙なタイミングでお膳を渡されました。
炊きあがったばかりのご飯を一文字によそい、白味噌の汁、鯛の昆布締めの向付けです。
運ぶのが忙しくて、写真を撮るタイミングがまったくなかったのが残念
杯と燗鍋で、一人ひとりにお酌をします。
飯器(はんき)と呼ぶお櫃のご飯を運び、汁替え(おかわり)をお出しします。
そして懐石ではメインディッシュとなる煮物椀。
今回は海老がたっぷりの海老真薯。ニンジン、シイタケも入りユズの香りもご馳走です。
お椀は大好きな雀ちゃん
明治時代のものです。 とにかくカワユイ。
二献目のお酒を出して、焼き物です。
鰆の西京漬けをお出ししました。 身がふっくらと焼けて絶品でした。
強肴(しいざかな)と呼ぶお酒の肴のような、おかずのようなお料理を2皿。
再び飯器でご飯のおかわり。ちょっとずつでも3回ご飯が出るとお腹もいっぱいになってきます。
ここで15分位時間をとり、ゆっくり召し上がっていただきます。
半東さん、水屋さん、私の三人も大急ぎで水屋で相伴しました。
続いて箸洗い(はしあらい)と呼ぶ小吸物です。
浅草で見つけたカワイイ昆布を入れて、ちょっと楽しい演出をしました。
後で誰かから写真をもらえたらご紹介しますね。
八寸と呼ぶ山海の肴とお酒をお出しして、三献目。
香の物とお湯をお出しすると懐石は終わりです。
禅寺の作法にのっとり、飯椀と汁椀をタクワンとお湯で清めます。
ちなみに香の物はこちらの器に盛りました。
焼き物の器の周りにピッタリと銅線が編み込まれています。 この銅線は外れないんですよ。
中を見ると
【お腹はいっぱいになりましたか?】
とばかりに大きなお腹の布袋様。 ふふふっ。こういう使い方大好き。
私は襖の外で控えて、箸が落とされる音を待ちます。
独特な作法ですが、ごちそうさまの合図として箸を膳に落とすのです。
それを聞いたら襖を開けて
『お粗末でした』
と、お膳を下げます。
そして、縁高重で花びら餅をお出しして懐石は終わりになります。
お客様が中立(なかだち)で退出している間に、掛軸を巻き上げ、代わりに花を飾ります。
今回は紅梅と白い椿の加茂本阿弥。
竹の一重花入れを掛けました。
棚には棗と茶入を荘りつけたら、銅鑼を打って準備が整ったことを知らせます。
濃茶は水屋を担当してくださった先輩が点てました。
和やかな懐石とはうってかわり、気の引き締まる緊張感が心地よいお点前でした。
半東さんと私も席に加えていただき、今年初めての御茶をいただきました。
上林春松本店の嘉辰の昔というお茶を選びました。
後炭手前は私がしまして、ラストの薄茶は半東さんが全員に点ててくれました。
さて、いよいよですよ
私が一番愉しみにしていたお菓子の時間がやってきました
石川県山中温泉にある山海堂さんから取り寄せたお菓子です。お店のHPは⇒コチラです
梅の最中か・・・・
と思うでしょ
そっとひらくと~
中に小さなお干菓子が入っています。かわいい~ こんぺいとうもカワイイ。
そして、小さな紙。
読めますか?
いまより のち 吉
やったー これは幸先が良いです
届いてすぐ一つ開けてみたらこれでした。
このお菓子、中に様々な占いの?言葉が入っているのです。
当日はこのように盛付けまして
『選んでお取りくださいね』 とお出ししました。
通常はきちんと並べられたお菓子を選ばずに取ります。
一人一人、札を読み上げていただきました。
先生は 【仏より あなたが頼り】
なんてピッタリなの~。
独身男性は 【はやく決断しなさい】
これには大爆笑。
昨年出費がかさんで嘆いていた方には 【宝くじが当たる】
ご本人も大喜び。
順番に読み上げる度に、何故かピッタリで不思議だったり面白かったり。かなり盛り上がりました。
私の仲良し独身女性も 【はやく決断しなさい】
これにはビックリ~。 同じ言葉が独身二人に当たりました。
私の分は盛付けなかったのですが、持っていらっしゃいよと言われて水屋から一つ持ち出しました。
うそから でた まこと
これは????? だったのですが、クスクス笑い声がおこりました。
どうして、どうして
翠雀さんって、お点前を間違えても堂々と間違えるから ‘ホントはこうだったかな’ って思えちゃうのよね
今日だって、クスクス
う~~~ん 笑えません でもまぁみんなが楽しそうなので私もうれしいです
今回は、先生への感謝の気持ちを込めて、これまで先生からいただいたお道具を取り合せました。
12年前のお正月にいただいた戌が描かれた棗、茶名の記念の皆具。
お茶を点てるということは、必ず相手が存在します。 それゆえの喫茶去。
また、初釜とは稽古始めでもあります。
稽古とは一より習い十を知り 十よりかえる元のその一 (利休道歌より)
十が何かというと、私はお茶事の亭主がきちんと出来るという事だと思っています。
最後の干菓子のお盆は山道盆。 裏千家では誰もが一番最初に習う盆略点前。
その点前で使うお盆に満開の梅を咲かせました。
出来た!とは言い難いですが、以上が今の私の精一杯。
また一から始まるわけですが、入門時の一とは違っていなければなりません。
とりあえず
今夜はヨシとして、お疲れさま~ワタシ
使ったお道具はキレイに清めて、今月末までしっかり乾燥させてから仕舞います。
疲れましたが、お茶の楽しみは 亭主7分に客3分 の言葉通り
充実した日々を過ごせました
今年のテーマは、日々是好日。
皆さま今日は好い一日でしたか? 明日もきっと好い日でありますように
前回の記事で触れた初釜が無事に終了いたしました 前回の記事は⇒コチラ
何から書いてよいか・・・沢山あるのですが、お茶事の流れに沿って待合(まちあい)から。
あっ、長文ですので時間に余裕がある時にお読みくださいね。
待合とは、お茶室に入る前の集合部屋のようなものです。
全員揃ったところで、汲み出し(くみだし)と呼ばれる小さな湯呑が出ます。
大抵は白湯が入っています。
この汲み出し茶碗は相馬焼を使いました。 お茶碗を覗き込むと底に金彩を施した馬がいるのですが、
お湯を入れると金彩がより一層きらめいて綺麗だったとほめられました。
そして短冊や色紙など軽めの掛物を掛けますが、今回のはこちら。
日々是好日(にちにちこれこうにち) こうじつとも読みますが、お茶をされない方にも馴染みのある言葉ではないでしょうか。
晴れの日も雨の日も、良い事があっても残念な事があっても、その状況を十分に味わえれば毎日が佳い日になるのだ。 そのように解釈しています。
裏千家14代の淡々斎宗匠の書です。(お目利き先輩に譲っていただいた・・)
そして本席の掛け軸はこちら。
喫茶去(きっさこ) お茶をどうぞ、というような意味合いの言葉です。
去という文字があるので、お茶を飲んで去れと訳される事がありますが、去は強調の意味だそうです。
この言葉は私が中学生の時に稽古に通っていた先生のお茶室で教えていただいた、思い出がある言葉です。
お茶を習い始めると、多分最初の頃に教わる言葉かな?と思います。
わかりにくいですが、床にあるのは炭を3つ束ねて松を差し、お米を盛った上に乗せたもの。
淡々斎の時代に飾っていたというお正月飾りです。色々と苦しい時代の工夫がしのばれます。
お米は一升半盛り、一生繁昌・一生繁栄を願う意味があります。
私の先生の先生の頃は、東京道場ではこの飾りをしていたらしいです。
そして、棚は鵬雲斎好みの山雲棚。
雲の蒔絵と水の流れの彫り、溜塗りが柔らかい雰囲気を出しています。
水指は染付のぶどう棚。
私が茶名をいただいた時に、先生からお祝いでいただいた皆具です。
今回は建水と蓋置もこれを使いました。
棚の天板には、炭手前で使う羽箒と香合が乗っています。
香合はお正月に使われる事が多い、ぶりぶり香合。
変な名前ですよね。
このような六角形です。
炉縁は乱れ桐蒔絵。
炉の中には私が作ったしめし灰が入っています。 ちなみにもう少し細かい灰にするように注意されました
亭主として皆さまとの挨拶、寄付と本席の軸の話、炭手前が終わり、いよいよ懐石です。
『時分どきですので、勝手を見繕いまして粗飯を差し上げます』と挨拶をして台所に行くと
絶妙なタイミングでお膳を渡されました。
炊きあがったばかりのご飯を一文字によそい、白味噌の汁、鯛の昆布締めの向付けです。
運ぶのが忙しくて、写真を撮るタイミングがまったくなかったのが残念
杯と燗鍋で、一人ひとりにお酌をします。
飯器(はんき)と呼ぶお櫃のご飯を運び、汁替え(おかわり)をお出しします。
そして懐石ではメインディッシュとなる煮物椀。
今回は海老がたっぷりの海老真薯。ニンジン、シイタケも入りユズの香りもご馳走です。
お椀は大好きな雀ちゃん
明治時代のものです。 とにかくカワユイ。
二献目のお酒を出して、焼き物です。
鰆の西京漬けをお出ししました。 身がふっくらと焼けて絶品でした。
強肴(しいざかな)と呼ぶお酒の肴のような、おかずのようなお料理を2皿。
再び飯器でご飯のおかわり。ちょっとずつでも3回ご飯が出るとお腹もいっぱいになってきます。
ここで15分位時間をとり、ゆっくり召し上がっていただきます。
半東さん、水屋さん、私の三人も大急ぎで水屋で相伴しました。
続いて箸洗い(はしあらい)と呼ぶ小吸物です。
浅草で見つけたカワイイ昆布を入れて、ちょっと楽しい演出をしました。
後で誰かから写真をもらえたらご紹介しますね。
八寸と呼ぶ山海の肴とお酒をお出しして、三献目。
香の物とお湯をお出しすると懐石は終わりです。
禅寺の作法にのっとり、飯椀と汁椀をタクワンとお湯で清めます。
ちなみに香の物はこちらの器に盛りました。
焼き物の器の周りにピッタリと銅線が編み込まれています。 この銅線は外れないんですよ。
中を見ると
【お腹はいっぱいになりましたか?】
とばかりに大きなお腹の布袋様。 ふふふっ。こういう使い方大好き。
私は襖の外で控えて、箸が落とされる音を待ちます。
独特な作法ですが、ごちそうさまの合図として箸を膳に落とすのです。
それを聞いたら襖を開けて
『お粗末でした』
と、お膳を下げます。
そして、縁高重で花びら餅をお出しして懐石は終わりになります。
お客様が中立(なかだち)で退出している間に、掛軸を巻き上げ、代わりに花を飾ります。
今回は紅梅と白い椿の加茂本阿弥。
竹の一重花入れを掛けました。
棚には棗と茶入を荘りつけたら、銅鑼を打って準備が整ったことを知らせます。
濃茶は水屋を担当してくださった先輩が点てました。
和やかな懐石とはうってかわり、気の引き締まる緊張感が心地よいお点前でした。
半東さんと私も席に加えていただき、今年初めての御茶をいただきました。
上林春松本店の嘉辰の昔というお茶を選びました。
後炭手前は私がしまして、ラストの薄茶は半東さんが全員に点ててくれました。
さて、いよいよですよ
私が一番愉しみにしていたお菓子の時間がやってきました
石川県山中温泉にある山海堂さんから取り寄せたお菓子です。お店のHPは⇒コチラです
梅の最中か・・・・
と思うでしょ
そっとひらくと~
中に小さなお干菓子が入っています。かわいい~ こんぺいとうもカワイイ。
そして、小さな紙。
読めますか?
いまより のち 吉
やったー これは幸先が良いです
届いてすぐ一つ開けてみたらこれでした。
このお菓子、中に様々な占いの?言葉が入っているのです。
当日はこのように盛付けまして
『選んでお取りくださいね』 とお出ししました。
通常はきちんと並べられたお菓子を選ばずに取ります。
一人一人、札を読み上げていただきました。
先生は 【仏より あなたが頼り】
なんてピッタリなの~。
独身男性は 【はやく決断しなさい】
これには大爆笑。
昨年出費がかさんで嘆いていた方には 【宝くじが当たる】
ご本人も大喜び。
順番に読み上げる度に、何故かピッタリで不思議だったり面白かったり。かなり盛り上がりました。
私の仲良し独身女性も 【はやく決断しなさい】
これにはビックリ~。 同じ言葉が独身二人に当たりました。
私の分は盛付けなかったのですが、持っていらっしゃいよと言われて水屋から一つ持ち出しました。
うそから でた まこと
これは????? だったのですが、クスクス笑い声がおこりました。
どうして、どうして
翠雀さんって、お点前を間違えても堂々と間違えるから ‘ホントはこうだったかな’ って思えちゃうのよね
今日だって、クスクス
う~~~ん 笑えません でもまぁみんなが楽しそうなので私もうれしいです
今回は、先生への感謝の気持ちを込めて、これまで先生からいただいたお道具を取り合せました。
12年前のお正月にいただいた戌が描かれた棗、茶名の記念の皆具。
お茶を点てるということは、必ず相手が存在します。 それゆえの喫茶去。
また、初釜とは稽古始めでもあります。
稽古とは一より習い十を知り 十よりかえる元のその一 (利休道歌より)
十が何かというと、私はお茶事の亭主がきちんと出来るという事だと思っています。
最後の干菓子のお盆は山道盆。 裏千家では誰もが一番最初に習う盆略点前。
その点前で使うお盆に満開の梅を咲かせました。
出来た!とは言い難いですが、以上が今の私の精一杯。
また一から始まるわけですが、入門時の一とは違っていなければなりません。
とりあえず
今夜はヨシとして、お疲れさま~ワタシ
使ったお道具はキレイに清めて、今月末までしっかり乾燥させてから仕舞います。
疲れましたが、お茶の楽しみは 亭主7分に客3分 の言葉通り
充実した日々を過ごせました
今年のテーマは、日々是好日。
皆さま今日は好い一日でしたか? 明日もきっと好い日でありますように
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